セレナード第13番ト長調《アイネ・クライネ・ナハトムジーク》3
ヴェーグの演奏は全く違うものである。
ここには、モーツァルトの音楽の持つ光輝き、活力、などが、決して《ハフナー》セレナーデや後期の協奏曲やシンフォニー群に劣らず内在しているのだということを、彼は鮮やかに証明してみせる。
それによって、"愛らしいセレナーデ"という通念を吹きとぼして、みごとな弦楽のシンフォニーとしての素顔を取り出すことに成功したのだが、そのためには、従来の大オーケストラがやってきた十九世紀のフレージングでなく、すべての音の表現法を含めて十八世紀のスタイルに直している。それによってセンチメンタルさが消え、きびきびとした"モーツァルトの音"がよみがえったのである。
これに比べると、旧来のオーケストラの演奏はサッカリンのように見えてくるし、古楽器はチームの新しい努力を多とするものの、"偉大なる芸術の再創造としての演奏"ではヴェーグに及ぼない。