セレナード第12番ハ短調《ナハトムジーク》1
管楽八重奏のために書かれているこの曲は、モーツァルトのセレナードの中でももっともセレナードらしくない作品として知られている。
セレナードは元来娯楽音楽の一種で、しかも当時ハルモニー・ムジークといってこうした管楽合奏のスタイルが好まれていたにもかかわらず、どうしてセレナードらしくない作品を作ったのか、その理由は明らかではない。
実際この曲を聴くと、その真面目で厳粛な内容に驚かされるし、近代ならばまさしく演奏会用の作品というべき傑作である。
それは一つにはこうした娯楽音楽としては珍しいハ短調で書かれていることや、楽章構成が交響曲や弦楽四重奏曲と同じ形の四楽章であることにもよる。
実際モーツァルトのすべてのセレナードやディヴェルティメントの中で、短調の調性をとっているのはこの曲だけである。